切迫早産

お腹がはる感じがあるときはどうすればいいですか?

妊娠中のお腹のはる感じがある場合には「かかりつけに受診するべきか相談すること」が大切です。

子宮が収縮して縮もうとしたときに「お腹がはる感じ」を自覚します。お腹のはりがひどくなると、子宮の収縮によって赤ちゃんを出そうとする力が働きます。
最悪、妊娠週数が浅いうちに赤ちゃんが出てしまい「流産」や「早産」になってしまうことがあります。
ちなみに、22週未満の分娩を「流産」、22週から37週未満の分娩を「早産」といいます。流産になる可能性が高い状態を「切迫流産」、早産となる可能性が高い状態を「切迫早産」と診断されて治療へとつなげる流れとなります。

お腹がはる感じがあるときにはどんな検査をしますか?

お腹のはる感じがあるときには、赤ちゃんが出やすい状態になっているか検査をして判断します。具体的にいうと「エコー」「内診」「腟鏡診」などの検査をして重症度を評価します。

エコー

腟口からエコーを挿入して検査をします。子宮の入り口の長さを測ったり、子宮の入り口の形を評価します。
とくに子宮の入り口の長さが25mm以下の場合には、早産となる可能性が高くなるので、入院もふくめて慎重に治療を検討します。

内診

腟口から内診指を挿入して、診察をします。子宮の入り口の「開き具合」「硬さ」「向き」「赤ちゃんの頭の高さ」などを評価します。
子宮の入り口が赤ちゃんが出やすい状態になっているのか判断します。

腟鏡診

腟鏡(クスコ)という器械を用いて、子宮入り口や腟内を観察します。「破水」や「出血」がないか、「赤ちゃんの袋が出てきてないか」など確認します。
子宮入り口の感染や炎症反応が切迫流産・早産の原因となります。必要があれば腟鏡診のときに一緒におりものを採取して、細菌感染がないか、炎症反応の指標となる検査などを調べます。

そもそも早産とは何ですか?

妊娠22週から37週未満の分娩のことを「早産」といいます。
妊娠37週から42週未満の分娩のことを「正期産」、妊娠42週以降の分娩のことを「過期産」といいます。
なお、妊娠22週未満の分娩では、赤ちゃんは一人では生きられないとされており「流産」となります。

なぜ早産を予防するべきですか?

早産で産まれた赤ちゃんは、「脳」「肺」「腸」などの臓器が未熟であったり、免疫が十分でなく感染症などにかかりやすい状態などによって医療サポートが必要になることが多いです。
また、「早産」で産まれた赤ちゃんは発育していくにつれて、「正期産」に比べて、知能指数が低い、アレルギー疾患になりやすいなどの報告があります。また、成人になったときに、「高血圧」「糖尿病」などの生活習慣病になりやすいという報告もあります。

早産になりやすい人

既往歴

過去にかかったことのある病気を「既往歴」といいます。
「前回の妊娠で早産」だった場合、子宮頚部異形成などによって「円錐切除術」の手術を受けた場合、前回の妊娠で「頸管無力症」だった場合では、今回の妊娠で早産になる可能性が高くなります。

現症

診察によって、ふたご以上の妊娠「多胎妊娠」、子宮の入り口が短い「子宮頸管短縮」、「細菌性腟症」、羊水が多い「羊水過多」など判明した場合は、早産となる可能性が高くなります。

生活習慣

「やせ」によって低栄養状態であったり、「喫煙」によって胎盤血流が低下したり、「ストレス」がかかったりすると、子宮の収縮につながり早産となる可能性が高くなります。

早産を予防する方法

妊婦さんへの指導

お腹のハリ・出血・破水感などの症状があった場合、早産につながる可能性があります。そのような症状があった場合は、受診をして診察をうけましょう。
早産になりやすい「切迫早産」という状態だった場合は、「安静」や「ハリ止め」などで治療します。場合によっては入院することもあります。担当医の指示を守るようにしましょう。

ハイリスクの選別

先ほどみてきた早産になりやすい人など早産のハイリスク群を見定めることが大切です。場合によっては妊娠初期のうちに、子宮の入り口を糸でしばって早産を予防する「頸管縫縮術」を行ったり、定期的に「注射薬」を使う場合などあります。

内診・エコー検査

とくにお腹のハリなどの症状がなくても子宮の入り口が開いて早産になってしまう人もいます。無症状でも時期を決めて、エコーや内診をおこなって子宮の入り口の長さを評価することが大切です。

細菌性腟症

子宮の入り口に感染すると、子宮の入り口は開きやすくなってしまい早産につながります。腟内の感染症の検査をして「細菌性腟症」でないか検査することが大切です。

「切迫早産」の診断・管理・治療をする

早産になる可能性の高い状態のことを「切迫早産」といいます。
「切迫早産」という状態をうまく管理することで「早産」を予防することにつながります。
切迫早産は「安静」や「ハリ止め」などで治療していきます。重度な場合には、入院することもあります。切迫早産と診断されたら、早産を予防するためにも担当医の指示を守るようにしましょう。

切迫早産では、どんな治療をしますか?

切迫早産と診断された場合は、おもに「安静」と「ハリ止めの薬」で管理していきます。

切迫早産の治療は、軽度であれば「自宅安静」と「ハリ止めの飲み薬」で外来で様子をみます。重度であれば入院をして「安静」と「ハリ止めの点滴」などで治療します。エコー検査で「子宮の入り口の長さ」をはかったり、モニターで「子宮の収縮」を評価して、ハリ止めの内服薬の錠数や点滴の量を適宜調整していきます。
また、切迫早産が重度で、赤ちゃんの臓器が未熟な週数(妊娠34週未満)に産まれる可能性が高い場合は、「ステロイド」の注射薬を使用して、少しでも赤ちゃんの臓器が成熟するようにします。

どこで切迫早産の治療をしますか?

じつは、切迫早産の治療は「治療の場」というの視点も大事になります。

たとえば…
軽度であれば「自宅」で様子をみますが、「自宅安静」と「ハリ止めの飲み薬」で経過をみていくことになります。
重度であれば「入院」して治療しますが、「安静」と「ハリ止めの点滴」で治療していきます。
また、妊娠週数が浅く万が一赤ちゃんが未熟で出てきてしまう可能性が非常に高い場合は「一般的な分娩施設」でなく、NICUという産まれてくる赤ちゃんの集中治療室のある「高度な周産期センター」に転院になることもあります。

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