「妊娠1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月まで、葉酸を1日0.4mg摂取することで、児の神経管閉鎖障害発症リスクを低くすること」が期待できます。
葉酸
「妊娠1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月まで、葉酸を1日0.4mg摂取することで、児の神経管閉鎖障害発症リスクを低くすること」が期待できます。
「神経管閉鎖障害」は、先天的に脳や脊椎が形成されるときに発生する癒合不全のことで、無脳症・脳瘤・二部脊椎などが挙げられます。
葉酸を摂取するときのポイントは「妊娠前から摂取すること」です。
神経管の閉鎖は妊娠6週ころに完成するので、妊娠に気づいてからの葉酸摂取では時期が遅くなります。
また、葉酸は通常の食事では不足しがちな栄養素といわれています。妊娠する前から、サプリメントなど利用して意識的に摂取しましょう。
ただし葉酸の摂りすぎにも注意が必要で、摂取量は「1日1mg」を超えないようにしましょう。
ちなみに、過去に神経管閉鎖障害のある児を妊娠したことのある女性については、「医師の管理下に妊娠前から1日4-5mgの葉酸を摂取すること」で神経管閉鎖障害の発症リスクを低くすることが期待できます。
ただし、葉酸過剰摂取に伴う影響もあるので、必ず医師の管理下におこなうことが重要となります。
ビタミン
ビタミンは「脂溶性ビタミン」(A・D・E・K)と「水溶性ビタミン」(B・C)に分けられます。
水溶性ビタミンは過剰摂取すると尿中に排泄されますが、脂溶性ビタミンは過剰摂取するとと、体内に蓄積する可能性があり注意が必要です。
ビタミンA
とくに脂溶性ビタミンの「ビタミンA」は妊娠初期に過剰摂取すると「胎児形態異常」(赤ちゃんの臓器の形の異常)のリスクがあるため注意が必要です。
「ビタミンA」の耐用上限量は2700(ugRAE)とされております。
とくにレバーには100gあたりビタミンAが17000(ugRAE)含まれており、容易に摂りすぎてしまう可能性があり注意が必要です。
また、マルチビタミンのサプリメントを摂るときには、ビタミンAも一緒に多く摂りすぎてしまう可能性があり注意が必要です。
ビタミンAは不足すると「夜盲症」や「皮膚粘膜障害」「免疫低下」などにつながります。ビタミンAは足りなくても摂りすぎても良くないので、適正量を意識しましょう。
ビタミンB6
「ビタミンB6」はつわりの症状を軽くする効果があります。
つわりの場合、吐き気止めと一緒に処方される場合があります。
ビタミンB1
「ビタミンB1」は不足すると「ウェルニッケ脳症」を引き起こす可能性があります。
重症なつわり(悪阻)で、食事や水分がとれない場合には点滴による治療をします。そのときに「ビタミンB1」なども点滴に混ぜることが多いです。
まとめ
「鉄分」は妊娠期間中不足しがちなので積極的に摂取するようにしましょう。
「葉酸」は通常の食事では不足しがちなので、妊娠する前からサプリメントなど利用して意識的に摂取しましょう。ただし葉酸摂取は1日0.4mgを目標として、通常の場合は1日1mg以上を超えないようにしましょう。
「ビタミンA」の過剰摂取に注意しましょう。また「ビタミンB6」はつわりの症状を軽くする効果があります。「ビタミンB1」は不足すると「ウェルニッケ脳症」が起こります。
必要な栄養は食事から摂取することが原則です。
しかし、食事からはどうしても摂りにくい栄養素や不足しがちな栄養素などもありサプリメントをうまく活用することが大切です。