検査
妊娠中に注意が必要な医療行為として「検査」があります。
妊娠中においては、とくに「母体に負担のかかる検査」や「放射線を用いた検査」に注意が必要です。
母体に負担のかかる検査
たとえば、「胃カメラ」(上部消化管検査)では、強烈な吐き気を誘発したり、姿勢をキープしなければならないため、母体にかなりの負担がかかります。
ときには、お腹が張ってしまい「切迫流産」「切迫早産」につながります。
放射線を用いた検査
放射線を用いた検査には、「レントゲン検査」や「CT検査」などがあり、お腹の赤ちゃんに影響を与える可能性があります。
放射線の影響は「被曝時期」と「被曝線量」によって異なります。
実際には「レントゲン検査」は被曝線量が少ないため、妊娠中でもおこなうことが多いです。
ただし「レントゲン検査を多く撮影する場合」や「CT検査をおこなう場合」では被曝線量が多くなる可能性があるため、「検査の必要性」と「放射線の影響」を考えて検査を行うか決めます。
予防接種
妊娠中に注意が必要な医療行為として「予防接種」があります。
予防接種には「生ワクチン」と「不活化ワクチン」の2種類あります。
妊娠中の「生ワクチン」の接種は、理論上ワクチンの成分であるウイルスが胎児に移行する危険性があるため、通常は行いません。
とくに、風疹ワクチンは「生ワクチン」です。
妊娠初期の検査で、風疹の抗体価が低いと判明した場合には、分娩が終わった後に風疹ワクチンを接種するようにしましょう。
また、「不活化ワクチン」は、妊娠中の接種も可能ですが、「有益性」が「危険性」を上回ると判断された場合に接種するようにします。
なお、インフルエンザワクチンは、不活化ワクチンですが、妊娠中にかかると重症化リスクが高いので、流行時期の前には接種することをオススメします。
医療介入はなんでもそうですが、「良い面」(有益性)と「悪い面」(危険性)を天秤にかけて、実際におこなうかどうか決めます。これは妊娠していない場合も同様です。
妊娠中に注意が必要な医療行為として「予防接種」があります。
手術
妊娠中においては、手術をおこなう場合には「体への負担」「麻酔薬などの影響」「合併症」などに注意が必要です。
体への負担
手術は、手術前後の準備があったり、手術中は体にメスが入ったり、同じ姿勢を保ったりと、「母体への負担」がかかります。ときには、お腹が張ってしまい「切迫流産」「切迫早産」につながることもあります。
麻酔薬など
手術では「麻酔薬」「痛み止め」「抗生物質」などさまざなくすりが使われます。基本的には妊娠中も安全に使えるくすりを選びます。しかし、全身麻酔が必要な場合には、赤ちゃんへの安全性がわかっていない薬を使わなければならない場合があります。
合併症
100%安全な手術というものはなく、ある一定確率で「合併症」が起こる場合があります。
とくに妊娠中では「血栓症」という血液が固まってしまう合併症が起こりやすいです。また、手術の合併症で「感染症」が起こる場合があります。感染症から全身に炎症が波及して、「切迫流産」「切迫早産」につながることもあります。